名前を聞かない、名前を見ない日がない「プロバイオティクス」。
そんなプロバイオティクスって何?そんな疑問にお答えするために総まとめしてみました。
そもそも「プロバイオティクス」ってどんな意味?
抗生物質は英語で「antibiotics(アンチバイオティクス)」ですが、人間にとって危険な細菌を殺してくれるだけではなく人間の健康にとって必要な細菌まで殺してしまう副作用があります。
最近ではアレルギーや様々な体調不良が腸内フローラの乱れによって引き起こされることが分かってきていて、その腸内フローラを整えたり、育てたり、新たな細菌を取り入れたりすることに役立つ食品(または細菌)のことを「antibiotics」の逆の言葉として「probiotics」と呼んでいます。「probiotics」という言葉は、プロバイオシス(probiosis:pro 共に/のために、biosis 生きる)を語源として、「antibiotics」の反対語として「tics」を付けて作られた造語です。
プロバイオティクスな食品と期待される効果
プロバイオティクスと聞いてまず思う浮かぶのがヨーグルトなんですが、ヨーグルトの中でも菌の種類が多数あったり、漬物のすぐき漬けや納豆もプロバイオティクスだったりするんです。
種類 | 効果・特徴 | 含まれる食品 |
ブルガリア菌 | 悪玉菌減少、整腸作用や腸内の有害物質の生成を抑制 | 一般的なヨーグルト |
クレモリス菌FC株 | 便秘の改善、抗腫瘍作用、免疫力UP、コレステロール低下 | カスピ海ヨーグルト |
ラブレ菌 | 整腸作用、胃酸に強く腸に届きやすい | すぐき漬け |
ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株 | 悪玉菌減少、便秘・下痢解消や免疫力UP、発ガン性物質の生成抑制 | ヤクルト |
ビヒダスBB536 | 抗アレルギー | ヨーグルト(森永ビヒダスBB536) |
ガセリ菌SP株(ラクトバチルス・ガセリSBT2055株) | 血圧低下、免疫力向上、メラニン生成抑制、コレステロール値低減、発がん物質抑制 | ヨーグルト(ナチュレ恵) |
ビフィズス菌LKM512 | 胃酸に強く腸に届きやすい、整腸作用、アトピー性皮膚炎軽減、寿命伸長、ロタウイルスによる感染性腸炎の抑制 | ヨーグルト(メイトー増加型ビフィズス菌 LKM512ヨーグルト・セブンプレミアム プレーンヨーグルト ビフィズス菌LKM512配合) |
エンテロコッカス・フェカリス菌FK-23株 | C型肝炎治療、抗ガン作用、抗ガン剤の副作用軽減 | チチヤス 乳酸菌の白い炭酸水 |
乳酸菌LS1 | 歯周病原菌を抑制、口腔内細菌叢の正常化 | コイケヤ乳酸菌LS1 |
乳酸菌PA-3株 | プリン体の分解・吸収 | ヨーグルト(明治プロビオヨーグルトPA-3) |
LG21乳酸菌 | ピロリ菌を減少 | ヨーグルト(明治プロビオヨーグルトLG21) |
1073R-1乳酸菌 | 菌体外に産生する多糖体により免疫力が高まり風邪をひきにくくなる | ヨーグルト(明治プロビオヨーグルトR-1) |
ラクトバチルス・ロイテリ菌 | 天然の抗生物質「ロイテリン」を分泌する多機能な菌株 | バイオガイヤ チャイルドヘルスベビー |
ラクトバチルス・ヘルベティカス(カルピス菌*) | 血圧低下、免疫力向上、メラニン生成抑制、コレステロール値低減、発がん物質抑制 | カルピス |
ラクトバチルス・ガセリCP2305株(C-23ガセリ菌) | 血圧低下、免疫力向上、メラニン生成抑制、コレステロール値低減、発がん物質抑制 | カルピス 届く強さの乳酸菌 プレミアガセリ菌 CP2305 |
ラクトバチルス・カゼイ431菌 | 悪玉菌減少、免疫力向上、感染症リスク低減・症状軽減、胃腸機能回復・改善 | ヨーグルト(チチヤス 毎朝快調ヨーグルト) |
LC1乳酸菌(ラクトバチルス・ジョンソニイ・La1株) | ピロリ菌を減少 | ※現在国内で入手不能かも |
L-92乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株) | 抗アレルギー | カルピス 守る働く乳酸菌 L-92 |
LB81乳酸菌 | ブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株で醗酵したヨーグルト | ヨーグルト(明治ブルガリアヨーグルトLB81) |
LGG菌 | 整腸作用、有害物質や発ガン性物質の生成抑制 | ヨーグルト(タカナシ おなかへGG!) |
BE80菌 | 最も胃酸に強いビフィズス菌 | ヨーグルト(ダノン ビオBE80) |
納豆菌 | 整腸作用 | 納豆 |
各種植物性乳酸菌 | 整腸作用、胃酸に強く腸に届きやすい | ぬか漬け |
各種植物性乳酸菌 | 整腸作用、胃酸に強く腸に届きやすい | 味噌 |
*:カルピス菌は単体の菌種ではなく、乳酸菌と酵母を含む複数の微生物の共同体を指します。
自動車やバイクのモデル名みたいに、結構自由なネーミングをされているので、どれがどれだか分かりにくいです。
カルピス菌とかLB81乳酸菌とか言われてますが、そんな菌は存在せず、
- カルピス菌:乳酸菌と酵母を含む複数の微生物の共同体
- LB81乳酸菌:ブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株
と複数の菌が混ざったものを指しています。
今後、業界で統一名称ができていくことを期待しています。
忘れちゃいけないプレバイオティクス(プロバイオティクスのエサ!)
プレバイオティクスだけを摂っても意味はありますが、できれば腸内のプロバイオティクスのエサとなるものと一緒に摂ってあげたいものです。
そんなプロバイオティクスのエサを「probiotics(プロバイオティクス)」と呼びます。
プロバイオティクスには満たさないといけない要件があります。
- 消化管上部で分解・吸収されない(吸収されたらエサが腸まで届きませんね)
- 大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する(有益な細菌達が食べて増えてくれないと困ります)
- 大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する(善玉菌よりも悪玉菌が増えたりしたら元も子もないです)
- 人の健康の増進維持に役立つ(善玉菌のエサでも、宿主の人間にとっての毒ではダメです)
まぁ、当然の内容ですね。
そこで、具体的にはどんなエサがあるかということなんですが、大きく分けると2種類。
- オリゴ糖
- 食物繊維
実はオリゴ糖、食物繊維と言っても色々あるみたいで、
種類 | 細目 | 含まれる食品 |
オリゴ糖 | ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖など | 大豆、ねぎ、玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、にんにく、バナナ、エシャレット、はちみつ、きなこ、甜菜、やーこん、あずき、きゃべつ、とうもろこし |
食物繊維 | ポリデキストロース、イヌリン | 根菜(ごぼう・にんじんなど)、穀物、芋類、豆類、海藻、キノコ、コンニャク、ゴマ、果物(干しがき・干しいちじく・干しプルーン・アボガドなど) |
ヨーグルトにきなこをかけたり、バナナにヨーグルトとはちみつをかけたりするのは、プレバイオティクスとしては非常に優れています。それと、美味しいことも大切です!
一日に食べるといいヨーグルトの量は450gなの?
今でも毎日
- ヨーグルト
- 味噌
- 納豆
- バナナ
- 根菜類
を欠かさずに食べていますが、これからは一層プレバイオティクスにも気をかけて、腸内フローラでお腹を空かせて待っている細菌達にエサを届けようと思っていた矢先、非常に気になる一文が目に入りました。
ヨーグルトに効果効能を求めるには、1日に400~500g程度摂取しなければならないと言われているのをご存じですか。
出典:http://blog.livedoor.jp/probiotics_all/archives/1075157.html
そんなに食べないと効果ないんですか???
450~500gってご冗談を。
ウ◯コ真っ白になっちゃいますって。
しかも、4人家族の場合、毎日2kgのヨーグルトを消費するなんて。。。お腹も財布も限界を超えます。
今食べている量は一日100~200gなので、半分以下ですが食べないよりはいいと思います。でも、実際のところどうなんだろうと思って調べてみました。
頑張って調べましたが、摂取目安量はたいてい84gとか120gとか(1カップの量)で、450gや500gと言った記載は見付かりませんでした。
ただ、以下のような記事は見付かりました。
ヨーグルトを毎日食べたら、体の免疫力が高まった
ヨーグルトを長期間食べ続けると、体の免疫力にどのような効果があらわれるかを調べた臨床試験があります。健康な人24名に4ヵ月間、毎日450gのヨーグルトを食べてもらったのですが、結果は体内でインターフェロン-y(カンマ)をつくる働きが、食べる前にくらべ平均約4倍も上昇していたということです。
出典:http://iyaku.hateblo.jp/entry/2014/02/14/182710
ですが、この記事の元になった文献が見付からず、信憑性が不明です。
ただ、常識的に考えて一日に450~500gのヨーグルトを食べ続けるのは無理があり、やはり1~2カップ(約100~200g)というのが妥当な線だと思います。
お腹の具合や体調、食事全体の摂取カロリーや栄養素も考慮して、摂取量は決めるべきだと思います。
もし1~2カップ(約100~200g)のヨーグルトが少ないとしても、プロバイオティクスはヨーグルトだけじゃありません。
- 納豆
- 味噌
- 醤油
- 漬物
などの日本の伝統食には優れた植物性乳酸菌が豊富に含まれていますので、色々な食べ物をバランスよく食べましょう。
体が健康で無ければプロバイオティクスもプレバイオティクスも意味がありませんから!